Interop Tokyo 2011展示会。

今年のInterop Tokyo 2011では6/9に展示会を見て回ってきた。
僕が社会人になって今年で7年目になるが、今までのところ1日も展示会に顔を出さなかった年はなかったと記憶している。
セッションにはあまり興味がなく、過去に丸1日コースのやつに1度出たっきりなのだが。

今回全体的に会場をまわって気になったことを2点挙げてみる。

ひとつ目は、各社ブースのパネルでソリューションが多数掲示されていたが、その中でもクラウドやネットワーク仮想化をキーワードとしているものの場合、連携対象の仮想化ファイアウォール製品としてFortinet社のFortiGateが多く取り上げられていたことだ。
ネットワーク仮想化に対応したファイアウォール製品としてはCisco社のASA5500シリーズ(ASA5505除く)、Juniper社のNetScreen5000シリーズおよびISGシリーズ、次世代ファイアウォールとして台頭してきたPalo Alto社のPAシリーズなどがあるが、そういったメーカを押しのけてFortiGateのVDOMとの連携を強調したソリューションが意外に多く見られた。
中でも印象的だったのはAlaxalA社がVRF対応の新製品AX3650SシリーズとFortiGateのVDOM機能を使ったソリューションを紹介していたことだ。
Cisco社製品であればCatalyst 3560GエンハンスドモデルとASA上位機種を使用すれば実現可能な構成で、僕も4年前には同様の構成で実案件をやっていたこともあるのだが、さすがにAlaxalA社はCisco社と競合している会社のでファイアウォールにASAを使うのがはばかられたのだろう。
そうなったときにどこのメーカの製品と組むかが問題になるが、そこで比較的ファイアウォール仮想化機能の歴史が長く枯れているJuniper社ではなくまだネットワーク仮想化を始めて2年かそこらのFortinet社と組んだというのが興味深い。
Fortinet社といえば、HP社のProcurve ONEが出てきたときにも早々にソフトウェアを提供するなどネットワーク仮想化が流行し始めてから他社と積極的に協力する姿勢が見られたが、どうやらその姿勢は今も変わらないようだ。
今回の展示会でFortinet社自身の出展はなく、代理店がひとつ狭いスペースで出展しているに留まっていたが、上述にもあるAlaxalA社やA10 Networks社、その他諸々のブースでソリューションを見かけたので登場機会としてはトップクラスだった。

ふたつ目は、どちらかというと中小企業向けの製品を提供しているところに多かった気がするのだが、端末として企業への導入が進んでいると言われているiPhone、iPadとの連携を強調したソリューションが多く見られた。
さすが流行りの製品、キーワードなだけあって抱き合わせて売ってやろうという気が見え見えだった。
実態は製品の既存機能でiPhone/iPadとIPSec VPNを張ってリモートオフィスを実現するようなものがほとんどで、技術的な目新しさはあまりなかった。
動作実績という意味では中小企業にとって有益な情報のひとつとなり得たと思うが、猛アピールするような内容ではなかっただろう。
ネットワーク仮想化というキーワードが流行りだしたときに、単にVLANを使っただけのものをネットワーク仮想化ソリューションとして展示していたベンダを見たことがあるが、それと同じぐらいつまらない内容だったと思う。
実際のところすごいのは売りたい製品ではなくiPhoneやiPadだということになるわけだし。
そういった点ではCisco社、NEC社、その他大手は惑わされることなく自社製品やソリューションを展開していたのでさすがだなと思った。

いつくか細かい話もしておこう。

  • NECがUNIVERGEとPFシリーズというLANスイッチのシリーズを売り出していた。おそらく中身はAlaxalA AXシリーズと大差ないのだと思うのでOEM販売なのだと思うが、NECは結構前からOpenFlowというネットワーク仮想化のトライアルをやっていて、その実装はこのUNIVERGE、PFシリーズで商品化するのかもしれない。まあ、OpenFlow自体どれほど実用的なのか、僕個人は疑問視しているのだが。
  • A10 Networks社のAXシリーズはここ数年で急激な伸びを見せているようだ。僕がかつていた会社ではF5社のBIG-IPばっかり売っていて、AXシリーズの導入に関わった案件は1案件しかないのだが、今はその当時よりもよりよい製品になっているのかもしれない。少なくともネットワーク仮想化という観点では、F5社よりもいろんなバリエーションの仮想化(アプライアンス上での仮想ロードバランサ、VMware向けのソフトウェアロードバランサ、VMware・ソフトウェアロードバランサ用アプライアンス、仮想ネットワーク連携機能があるスイッチ製品Aristaとの連携など)に対応していて今最も興味深いADC製品と言えるだろう。
  • Palo Alto社のPAシリーズでまた上位機種が登場したようだ。アプリケーション可視化が可能な次世代ファイアウォールという売り文句でここ3年ほどの間で日本でも名を売ってきている。とはいえ、今年のInterop Tokyoセキュリティ製品部門で受賞したSonicWALLの製品も同様の機能で受賞しており、FortiOS 4.0以降のFortiGateでもアプリケーションの可視化機能を有している。そのうちASAやSRXも同じことができるようになってくると考えると、この先何をもって差別化していくのかが課題だろう。1番わかりやすいのは性能、価格、その他の付加価値機能で、そうなるとSonicWALL以外の製品を触ったことがある僕が考える限り、今のところFortiGateが優位にあるような気がしないでもない。
  • 低コストスイッチのメーカがあまり来ておらず、Edge-COREが出展していたら商談しようと思っていたのだが、今年はD-Linkぐらいしか来ていなかった。D-Linkは比較的安めの製品が多いと思っていたが、それはあくまでCisco社やAlaxalA社と比べた場合の話で、今僕が在籍している会社のような小企業ではなかなか出せない額の製品がかなり多いようだった。やっぱり最低限の機能がそろっているレイヤ3スイッチを買おうと思うとEdge-COREぐらいしかないのだろうか。
  • I/O仮想化といえばCisco UCSを一時期触っていた僕にとってはCiscoが1番印象が強いのだが、I/O仮想化を専門に取り扱っているメーカがあった。Xsigo(シーゴ)と言うらしい。運用コストや省エネなどを気にして、大規模システムではそろそろ10Gbit Ethernetが使われる場面も増えてきそうな予感があるが、そういったところでピンポイントに攻めるソリューションということでうまくいけば化けるかもしれないなと思った。まあ、大きくなってきたところでどこかに買収されるのだろうけど。
  • Fortinetの代理店の人と交渉したところ、個人向けにもFortinet製品を売ってくれると言ってくれたので今度コンタクトを取ってみようと思っている。念のため先月FortiGate-60Cを売ってくれた販社さんにも確認してみて、条件がいい方から近々何かを買うかもしれない。
  • 実は僕が今勤めている会社も今回のInterop Tokyoに出展していた。が、ネットワークという話題では特におもしろいことはしていないし、僕もまったく話に関わっていないのでノーコメント。

さてさて、来年はどんな製品、ソリューションが僕を楽しませてくれるのか。
年々規模が縮小してきているが、不況や災害の傷痕に負けずに継続していってほしいものである。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す